装殖

錠剤首輪
鎖の先は生
空腹時は首輪を飲み込む
そうして誰かに吼えている
そうして誰かに噛みついている
泣き叫ぶ声の中に笑みが浮かぶ
醜いその顔に
柵の中で暮らす豚の肉をぶつけたい

真鍮ネックレス
人工宝石は有終の美
骨になる前に錆びてほしい
骨になる前に濁ってほしい
飾り立てた君の顔は何処
面の分厚いメッキ剥がしてみたい

裸の君の左手薬指に指輪をはめないで
財布の中の紙切れを渡した
そこにかいてある数字は別れの言葉だと
賢者達は気付いている

外は灰色
建物の中にヒトが納まっている
歩道にも車の中にも
灰色の中で規則正しく灰色に収まっている
錠剤を山ほど身に振りまくヒト
身動きできないくらいメッキで自身を固めたヒト
貴金属を鎧のように纏ったヒト
それなのに灰色のヒトヒトヒトヒト
その中で何も身に着けていない私がいる
裸の私がいる
ケースの中へ宝石を盗もうと忍び込んだネズミのように私がいる
ふと陶器のような女の手が伸びてきて私をつかんだ
生暖かい感触と灰色の世界は子宮のよう
私は胎児としてうまれるのか死ぬのか堕胎としてうまれるのか死ぬのか
同時に襲ってくる生と死から逃げようともがく
もがくもがくもがく
太陽の無い空の下
着飾った奴等を白く染めるのは
子宮から零れる血だと知っている
だからもがくもがくもがくもがくもがくもがく
叩き引っかき蹴り上げ齧る
熱いぬるぬるした液体が私をすくうまで
裸の私がすくわれるまで

赤い血管は鎖
皆すくわれている
灰色の皮膚の下の血管で何処まで行こう
皆すくわれている
生と死の間でゆらゆらと
すくわれているのに。